
神野太郎

SPレコードコンサートの様子
名誉市民神野太郎(1903~1983)は、中部瓦斯株式会社々長として中部ガス企業グループの発展に尽くすかたわら、豊橋商工会議所会頭や東三河開発連合会(後東三河開発懇話会)々長として、豊橋経済界を中心に地域の産業発展に貢献した。また、戦後いちはやく豊橋文化協会を設立するなど地方文化の振興にも大きな足跡を残した。
昭和21年(1946)2月、同氏の主唱により戦災で荒れ果てた豊橋の町に理想の「一坪の花園をつくろう」をキャッチフレーズに市立図書館で豊橋文化協会の発会式が行われ、第1回のレコード鑑賞会が開かれた。同氏は、戦前から趣味として洋楽クラシックレコードを愛好し、収集したSPレコードは約4,000枚に及んでいた。
昭和38年(1963)7月、疎開先で焼け残ったSPレコード1,070枚を、戦後豊橋の文化の出発点ともいうべき豊橋市立図書館に寄附した。その大部分は、ベートーベン・モーツァルト・バッハ・ハイドン・チャイコフスキーをはじめとする管弦楽・吹奏楽・室内楽・器楽などの洋楽クラシックであった。
現在、中央図書館では、同氏の文化振興の精神を継承する目的で、毎年秋に「SPレコードコンサート」を開催し、多くの市民の好評を得ている。